塗装業者選びの【国家資格・許可】も判断材料の一つ
札幌で外壁塗装や屋根塗装を検討する中で、失敗しない塗装工事業者選びのコツとして、資格や許可の有り無しを確認しておく事も一つのポイントとなります。
塗装工事はリフォーム業に分類され、施工するにあたって、資格や許可などは必要ありません。
その為、塗装工事に関わる資格や許可を取得していなくても塗装屋として開業できるという事です。
札幌には塗装業者が数多く存在し、その中でも資格や許可の取得していない塗装業者も数多く存在します。
資格、許可の取得をしていないからと言って、その全てが悪い業者という訳ではありません。
ただ、塗装工事を初めてお願いするのであれば「資格の持っている職人にお願いしたくはありませんか?」
塗装に関わる資格や許可はさまざまあり、今回はその塗装に関わる国家資格や許可について紹介します。
塗装技能士
塗装技能士は都道府県職業能力開発協会(中央職業能力開発協会)が実施する、塗装技術を認定する資格です。
厚生労働省が定めた国家資格となります。
塗装技能士には等級があり、難易度の高い順に「1級塗装技能士」「2級塗装技能士」「3級塗装技能士」があり、それぞれ上級技能者、中級技能者、初級技能者が持つ資格となります。
塗装技能士の資格を取得するには塗装対象物に区別された学科と実技試験の両方に合格する必要があります。
塗装工事業者を選ぶ際には判断基準の一つになります。
塗装対象物の区別
下記の5つの塗装作業に区別にされます。
- 建築塗装作業
- 金属塗装作業
- 木工塗装作業
- 噴霧塗装作業
- 鋼橋塗装作業
受験資格
塗装技能士の資格を取得する為には等級ごとに受験資格を満たしていなければいけません。
受験資格
- 1級塗装技能士=実務経験7年以上、かつ2級合格後2年以上
- 2級塗装技能士=実務経験2年以上
- 3級塗装技能士=なし
試験
学科試験
「材料」「色彩」「関係法規」「安全衛生」「塗装法」などの分野から問題が出題されます。
- 問題形式:真偽法及び四肢択一法
- 問題数 :50問
- 試験時間:1時間40分
100点中65点以上で合格になります。
実技試験
塗装作業を実際に行い、制限時間の間に素地調整~塗装~片付けまでの工程を行い、試験管にて判定されます。
審査には仕上りだけでなく、どのように塗るかも基準となり、減点方式により採点されます。
100点中60点以上で合格になります。
塗装技能士は職人の証
塗装技能士は上記の受験資格と試験をクリアした者のみに与えられる一定の塗装技術を持った塗装職人の証明となり、特に1級塗装技能士の合格率は50%~60%と7年以上の実務経験があっても2人に1人が不合格になってしまうという資格です。
その為、現場経験だけでなく技術や知識をしっかりと持った塗装職人の証明になると言えます。
塗装工事は職人が作業する工事になります
塗装工事をするにあたり最も信頼度や安心度の高い資格なのではないでしょうか。
建設業許可
建設業許可は個人ではなく、その業者が持つ許可となります。
塗装工事は建設業になり建設業法第3条では、請負金額が500万円を超えるの工事の場合、国土交通省や都道府県知事による建設業許可を取得する事が義務付けされています。
一般住宅の塗装工事の金額で500万を超える金額がかかる事はまずありえません。
しかし建設業の許可を取得している会社は一定の条件をクリアしている為、塗装工事業者を選ぶ際には判断基準の一つになります。
建設業許可取得条件
建設業許可はどこの業者も簡単に取得できる許可ではなく、条件を満たした業者のみが取得できる許可となります。
取得条件
経営業務における管理責任者がいる
建設業の経営業務において一定期間の経験を持つ者が在籍していなければなりません。
条件は下記の通りです
- 許可を取得する建設業において5年以上の経営業務の管理責任者としての経験がある(法人役員又は個人事業主)
- 許可を取得する建設業以外の建設業において6年以上の経営業務の管理責任者の経験がある(法人役員又は個人事業主)
- 許可を取得する建設業において6年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位にあり 、経営業務を補佐した経験を有すること(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)
建設業における専任技術者がいる
建設業許可取得には営業所に専任技術者が常勤している必要があります。
条件は下記の通りです
- 許可を取得する建設業種において定められた国家資格等を有する者
- 許可を取得する建設業種において10年以上の実務経験を有する者
- 許可を取得する建設業種において定められた学歴を有し、一定の実務経験を有する者(3年以上又は5年以上)
請負契約に関して誠実性である
建設業許可取得には、その業者が誠実ではなければなりません。
法人であれば役員、個人事業であればその個人事業主などが過去に詐欺や請負契約違反行為などの不誠実な行為をしていないか、禁固刑、刑法等の罰金刑を受けて一定期間が経過していないか。
いなければ誠実性がありと見なされます。
財産的基礎または金銭的信用がある
建設業許可取得には一定の資金力が必要となります。
条件は下記の通りです
- 500万以上の自己資本の保有
- 500万以上の資金調達能力がある
- 許可申請直近5年間の継続して営業した実績がある
欠格要件に該当していないこと
欠格要件に該当していると建設業許可を取得できません。
欠格要件をいくつか紹介します。
- 許可申請書または添付書類の中に虚偽があった場合、重要な事実に関する記載が欠けている場合
- 不正手段により許可を受けたなどにより、許可を取り消され5年を経過していない
- 営業停止を命ぜられ、その停止期間が経過していない
- 一定法令に違反した事により罰金の刑に処され、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過していない
塗装工事業の建設業許可
建設業許可は上記条件をクリアしている業者のみが取得できる許可です。
注意しなければならないのは建設業許可には28種類あり、その中の一つとして塗装工事業があります。
塗装工事業者の中には、塗装専門ではなく、塗装以外の分野での建設業許可を取得している場合があります。
この場合、会社としての信用度はあるものの、塗装工事では経験や専任技術者が在籍していない可能性があるので、塗装工事業の許可なのかも確認しておく必要があります。
塗装工事業の建設業許可を取得している業者は、塗装工事業の経験があり、塗装工事に必要な専任技術者が在籍し、信用のある業者という事になります。
一般住宅における塗装工事では500万円以上の工事になる事はありませんが、塗装工事をするにあたり大きな判断材料にしても良いのではないでしょうか。
参考記事
有機溶剤作業主任者
有機溶剤作業主任者は労働安全衛生法に定められた国家資格の一つとなります。
有機溶剤を扱う際に、身体的な被害防止や労働安全衛生上の労働者の衛生の確保を指揮・監督する為の資格です。
塗装工事では、油性塗料(溶剤塗料)のシンナーやラッカーなどが有機溶剤にあたります。
有機溶剤を扱うには労働基準法で必要と定められています。
資格条件はなく、2日間の講習を受け試験に合格すれば取得できる資格となります。
比較的簡単に取得できる資格にはなりますが、安全への意識が高いと判断できる資格なのではないでしょうか。
足場の組立て等作業主任者
足場の組立て等作業主任者は足場を組み立てる際に必ず必要な、労働安全衛生法に定められた資格です。
足場の設置や解体において安全に作業を進める為に十分な知識と経験が必要となります。
又、足場を組み立てる作業員は全員、特別教育を受講する必要があります。
札幌の塗装業者の多くは足場業者に足場を依頼する事が多く、足場業者であれば必ず持っている資格になりますのであまり気にしなくても良いかとは思いますが、もし塗装業者が自社で足場設置をする時には必要になるので、覚えておくと良いでしょう。
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建築施工管理技士
施工管理技士は建設現場での管理・計画を行う為の建設業法第27条の2に基づき実施されている国家資格です。
施工管理技士は施工過程における施工計画・工程管理・品質管理・安全管理に重点を置く資格となります。
等級には難易度が高い順に「1級建築施工管理技士」「2級建築施工管理技士」があります。
1級と2級の違い
仕事内容の違いはありませんが等級により、管理できる範囲が制限されます。
- 1級建築施工管理技士=業務内容に制限が無く、4000万以上の大規模の建設現場を管理する事ができます。
- 2級建築施工管理技士=業務内容に制限が有り、4000万以下の中小規模の建設現場を管理する事ができます。
塗装工事であれば2級建築施工管理技士で十分
上記(等級の違い)を見ればわかりますが、一般住宅の塗装工事を請け負う塗装業者の場合、4000万以上の現場を請け負う事はありません。
当然、1級建築施工管理技士の方が難易度も信用度も高いものになりますが、一般住宅の外壁塗装や屋根塗装の工事であれば2級建築施工管理技士を持っているだけで十分と言えます。
尚、2級建築施工管理技士でも専任技術者として扱われ、建設業の許可を取得するにも有効な資格となります。
資格・許可の有り無しを確認する方法
塗装業者に直接聞いてみる
一番簡単な方法は直接塗装業者に確認する事です。
資格を取得している場合、必ず教えてくれます。
その資格が上記にある様な国家資格であれば、自信を持って教えてくれるはずです。
ホームぺージや名刺などで確認
直接業者に聞きにくい方は、塗装業者のホームページ内を見てみましょう。
資格を取得している場合、会社概要や従業員プロフィール欄などに記載があります。
名刺などに記載しているケースも多くあります。
ホームページなどの情報で調べてみましょう。
まとめ
今回は塗装に関わる国家資格や許可について紹介いたしました。
それぞれの資格には意味があり、それぞれが信用できる判断材料の一つと言えます。
しかし塗装工事においては資格が有る無しだけで塗装の工事業者を決めるという事はやめましょう。
必ずしも資格や許可を持っているからと言って良い塗装工事ができるとは限りません。
良い塗装業者はお客様に親身になり、適切な提案と最適な施工をする塗装業者です。
札幌で外壁塗装屋や屋根塗装の業者選びをする際は国家資格や許可は一つの判断材料として、ご自身が納得のいける塗装業者を見つけましょう。