塗装工事での剥離剤 基礎知識・種類・注意点

外壁塗装や屋根塗装などの塗装工事をする際に、剥離剤を使用する事があります。

一般住宅の塗装工事では基本、既存の塗膜(活膜)をそのままの状態にして塗装をするケースがほとんどです。

しかし塗装対象物の既存塗膜の状態によっては剥離剤を使用し、綺麗に除去した後に塗装をしなければ塗料が下地に密着せず、施工不良の原因になる可能性がある為、剥離をしなければならない場合があります。

剥離剤にも塗料と同様にさまざまな種類があり、用途によって使い分けをする必要があります。
今回は、剥離剤の基礎知識から種類や注意点などを解説していきます。

剥離剤とは

剥離剤は既存塗膜を表面から分解し、剥がす為の液体となります。

塗装工事においての剥離の作業は高圧洗浄やケレン作業と言った工程により、既存塗膜を剥がす事があります。

ただそれだけでは完全に除去するのが難しい為、剥離剤を既存塗膜に塗布することによって既存塗膜が分解され、除去しやすくする事ができます。

剥離剤を使用する事で、旧塗膜からの剥がれを防ぐ事ができ、塗料の本来持つ密着性を保つ事ができます。
剥離剤には種類があり、その塗装対象物や用途によってさまざまな使い分けをします。

剥離剤を使用しなければいけない場合

一般住宅の塗装工事では基本、既存の活膜(密着性を失っていない塗膜)をそのままの状態にして塗装をするケースが多く、剥離剤を使用するのは特定の場合のみに使用する事になります。

塗装工事をする際に、剥離剤を使用しなければならないケースは大きく分けて2つあります。


施工不良が起きている場合


塗装対象物の旧塗膜が施工不良などによって剥がれや膨れが生じている場合、剥離剤を使用しなければなりません。

旧塗膜が死膜(密着性を失っている塗膜)の状態になっていると、新たに塗装する際には旧塗膜が塗装面になってしまう為、一緒に剥がれてきてしまいます。

又、その死膜の範囲などが多い場合には、見た目上はわからなくても施工不良が起きているケースが高い為、すべて剥離して塗装をしなければなりません。


高圧洗浄やケレンで塗膜が取り切れない場合


高圧洗浄やケレンは剥離作業の目的としても行われます。

高圧洗浄は汚れの付着を取る目的が一番の為、剥離効果は弱いものになります。
ケレンは手作業になる為、範囲が広かったり取りにくい様な箇所がある時は必要以上に時間がかかってしまいます。

剥離剤を塗布する事によって塗膜を剥離するのが楽になり、作業時間も早くなります。

剥離剤の種類


塩素系


塩素系はジクロロメタン(塩化メチレン)という有機溶剤の成分が含まれた剥離剤です。

ジクロロメタン系とも呼び、剥離効果が強く旧塗膜を溶解します。
強力さはプラスチックやゴムなども溶かす程です。
しかし人体への影響や環境に悪い為、一般住宅の塗装では使用する事はほとんどありません。

塩素系は特定化学物質になっており、使用時には法令に基づいたルールに則って運用を行わまければなりません。
使用時には防塵マスクなどを必ず使用し、十分に注意を払わなければならない剥離剤です。


非塩素系


非塩素系はジクロロメタン(塩化メチレン)という有機溶剤の成分を含まない剥離剤です。

非ジクロロメタンや環境対応型と呼び、塩素系との違いは旧塗膜を軟化する事ができます。
軟化した旧塗膜をスクレーパーやヘラなどで剥ぎ取ることができます。

環境対策を目的として開発された剥離剤なのでジクロロメタン系に比べると人体への影響や臭いは少ないくゴムやプラスチックを侵す事もある程、強力な剥離剤。

近年では非塩素系の剥離剤が主流になってきています。


水系


非塩素系の中に水系はという種類があり、最も環境に優しい剥離剤になります。

上記の系統の中で一番剥離効果が低いとされていましたが、近年、水系塗料の研究・開発によって溶剤の剥離剤に引けを取らない機能性をもったものが販売されています。


剥離剤のタイプ


剥離剤の中にはアルカリ性~中性~酸性とタイプがあり、それぞれに特徴がある為、用途によって使い分けなければなりません。

中性タイプの剥離剤は基本的に取り扱いがしやすいものが多く、木材などの剥離に使用するには最も適しています。
アルカリタイプは木材を木焼けさせたり、アルミリウムなどの軽金属を侵してしまいます。
酸性タイプもまた木材の木焼けなどを起こしてしまい、鉄や銅をサビさせてしまうもの性質があります。

タイプはさまざまある為、剥離剤メーカーや販売店に用途を伝えた上で商品を選択する必要があります。

剥離剤の注意点


材質を痛める危険性


剥離剤は塗膜を軟化させたり、溶解させたりする液体です。

つまり剥離剤は強い薬品という事です。

その為、既存の下地を痛める可能性もあり、極力使用はしたくないものです。
下地の劣化状況によっては使用できないケースもあります。


人体への影響


塩素系を使用するケースは少なくなっていますが、非塩素系でもシンナー同様に臭いはするものです。
赤ちゃんやペットなどがいる方、妊婦の方は十分に気を付ける必要があります。

臭いが気になる方は塗装業者と相談し、水系の剥離剤を使用してもらう事にしましょう。
状況によって水系では剥離できない場合があります。


塗装工事にかかる費用が上がる


一般的な塗装工事では、まず剥離剤を使用してから塗装工事をしません。

既存の活膜を残したまま塗装工事をする事が、一般的です。

剥離剤を使用し塗料を剥がす事になると当然、材料費と時間と手間がかかってしまいます。

塗装工事全体で見ると工期もかかり金額も上がります。

剥離剤を使用した剥離方法

剥離剤にはスプレータイプと液体タイプの2つあります。

スプレータイプは剥離したい箇所に吹き付けるタイプです
液体タイプは剥離したい箇所に刷毛やローラーを使い塗装の時と同じ様に塗ってくタイプです。

どちらも高圧洗浄を行う前の工程で行う事が一般的となります。

下記は剥離剤を使用する際の手順になります。

手順内容
①養生マスキングテープや養生シートで剥離剤が付着したら困る箇所に養生をします。
剥離剤が付着してしまうと別の箇所に影響がでるのでしっかりと養生をします。
②剥離剤塗布液体タイプの場合、刷毛またはローラーなどを使用し剥離したい箇所に塗布していきます。
スプレータイプの場合、剥離したい箇所に吹き付けます。
③浸透待ち塗布し終わったら塗膜に剥離剤が浸透するまで時間を置きます。
塗膜が軟化したのを確認し、次の作業に進みます。
④剥離作業スクレーパー、ヘラ、皮スキなどで浮いた塗膜を除去します。
除去が終り乾燥しているのを確認し高圧洗浄の作業に進みます。
剥離剤使用時の手順

まとめ

今回は、剥離剤の基礎知識から種類や注意点などを解説しました。
塗装対象物の塗膜の状態によって剥離剤を使用するケースがあるという事がわかったと思います。

剥離剤を使用するにはさまざまな種類の剥離剤の中からその下地材に最適な剥離剤を選択しなければなりません。

そして剥離剤を使用するのは基本的に、施工不良などの塗装に問題が起きている状態です。
塗装工事の度に剥離作業をしていては、お金がかかってしまい、下地材も傷ませる事になります。
塗装工事をする時には施工不良が起きない様、
知識、技術、経験の持った安心して任せられる塗装業者お願いしなければなりません。

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