塗装工事に欠かせない軒天塗装
札幌で外壁塗装や屋根塗装などの塗装工事をする際に【軒天】という項目がでてきます。
軒天は住宅にとって重要な役割を担っており、塗装をすることでしっかりと保護してあげる必要があります。
今回は軒天塗装の基本的な知識から塗装するにあたり知って置くべき点についていくつか紹介いたします。
塗装工事選びのお役に立てたら幸いです。
軒天(のきてん)とは
軒天(のきてん)とは家の外観から見える天井にあたる部分の事を指します。
主には屋根の裏側(外壁より飛び出た屋根の裏側)の事を指します。
又、玄関の天井、ベランダの天井も同じく軒天と呼ばれる部分になります。
↓下記は軒天の写真になります。
屋根の裏側
玄関の天井
ベランダの天井
軒天(のきてん)通称=軒裏(のきうら)、軒天上(のきてんじょう)などの呼び方があります。
呼び方の違いだけで全て同じ場所指します。
軒天の部分に張られている材料は【軒天パネルや軒天ボード】と呼びます。
軒天の4つの役割
軒天にはお家にとって重要な4つの役割があります。
①家の美観性を保つ
軒天には家の美観を保つ役割があります。
下から屋根を覗いた際に、軒天パネルや軒天ボードが貼られている事で内部構造を目隠しでき美観性を保つ事ができます。
軒天が貼られていない場合、垂木や野地板などの下地材が丸見えになり、美観性が失われてしまいます。
②雨水や紫外線の劣化防止
軒天には外壁への劣化のダメージを軽減する役割があります。
軒天はいわゆる傘の様な役割をし、雨水が直接外壁に当たりにくくなる事で外壁のダメージを軽減できます。
又、外壁に当たる太陽光からの紫外線を遮断する事で紫外線からの劣化も軽減させる事ができます。
③火事の延焼防止
軒天には火事の被害を抑える効果があります。
軒天の素材にはケイカル板や金属板などの不燃材を使用した素材が多く使用されています。
火は下から上へと上がっていく為、不燃材をしようする事により、屋根裏まで火が上るのを防いでくれます。
④屋根裏への換気
軒天には屋根裏への通気を良くする為の、換気の役割があります。
軒天の素材には穴の開いた素材や換気口が付いているケースがあります。
この場合、通気性が良くなり屋根裏の結露を防止をする事ができます。
軒天塗装の必要性
軒天は一般的に紫外線や直接の雨水が当たらない事から外壁や屋根に比べて痛む速度は遅いです。
しかし軒天は湿気がこもりやすく、日々劣化は進んでいます。
地面からの照り返しによる紫外線で痛む場合もあります。
塗膜で保護しなければ、軒天素材そのものを傷ませてしまう原因となります。
更に外壁に吹き付けた風は軒天に土埃などを付着させます。
軒天の汚れも外観を損ねる事になる為、外壁塗装や屋根塗装と一緒に定期的な塗装をすることをオススメします。
軒天の劣化サイン
軒天の傷むスピードは外壁や屋根に比べ、遅いケースが多いですが、家の環境や状況によって軒天の方が先に劣化が進んでいるケースもあります。
外壁や屋根の劣化具合を把握するのも大事ですが、軒天の劣化具合も把握しておきましょう。
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色あせ
色あせは、軒天の塗膜が劣化している証拠です。
塗装の効果はもう発揮されていません。
再塗装する必要があります。
シミ
シミができている場合、塗装の効果が消え、水が吸い込みやすくなっている証拠です。
場合によっては、雨水が流れ込んできている可能性もあります。
一度、専門家に見てもらう必要があります。
カビ・コケ
軒天部分は湿気がたまりやすい箇所になる為、カビやコケが生えやすい場所です。
カビやコケが軽度の場合、ケレン作業にて除去し、塗装する必要があります。
カビやコケの発生が激しい場合、張替え、もしく雨漏りしている可能性があります。
一度、専門家に見てもらう必要があります。
欠落・破損
軒天が欠落か破損している場合、早急に直す事をオススメします。
欠落や破損が軽度の場合は補修して塗装をする事はできますが、欠落や破損が激しい場合、塗装の作業では対応できないケースも多くなります。
専門家に見てもらい、原因を知った上で張替える事が必要となります。
※軒天の欠落、破損箇所から鳥など侵入し、巣を造る可能性があります。早急に対応しましょう。
軒天種類
主に一般住宅で使用されている軒天素材を4種類紹介します
ケイカル版
最も一般住宅の軒天で使用されているのが、ケイカル板になります。
珪藻土と水酸化カルシウムなどを水で混ぜた素材となります。
ケイカル板の特徴は軽量かつ耐久性と耐火性に優れています。
燃えない不燃系素材で穴あきタイプ(有孔タイプ)もあり、通気性を確保できるのが特徴です。
※ケイカル板は、法廷不燃材に認定されています。
石膏ボード
石膏ボードは鉱物と石膏を混ぜて製造された素材となります。
エクセルボードとも呼ばれ、ケイカル板と同じく燃えない不燃系素材となります。
軒天材として使用される事もありますが、室内の内装材として多く使用されています。
ケイカル板と比べ価格が高い為、軒天材としてはケイカル板の方が多く使用されています。
※石膏ボードはケイカル板と同様、法廷不燃材に認定されています。
金属板
金属板は屋根などに使用するガルバリウム鋼板などの金属を使用した軒天材です。
ガルバリウム鋼板は錆にくく、軽量かつ耐火性に優れています。
耐久性も耐水性も非常に高い材質ですが、価格が他の軒天材と比べると非常に高くなる為、一般住宅に使用されているケースは少ないです。
金属系になる為、塗装する際は板金屋根と同じ施工方法となります。
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ベニヤ合板
ベニヤ合板は古い住宅などに使用されている事が多い軒天材となります。
価格は非常に安価で穴あきタイプ(有孔タイプ)もあります。
耐水性や耐火性が低く近年ではあまり使用されない軒天材となります。
ベニヤ合板は木部の為、木材による調質機能が原因で塗膜が剥がれやすく、他の軒天材とよりも定期的に塗装をしなければなりません。
塗装する際は木部塗装と同じ施工方法となります。
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軒天塗料について
軒天塗装をする際に最も使用頻度の高い塗料の種類は、「EP」や「AEP」という塗料になります。
- EP=エマルションペイント
- AEP=アクリルエマルションペイント
「EP」と「AEP」は昔は分けて使用されていましたが、現在エマルションペイントのほとんどがアクリルエマルションペイントの為、同じ意味で使用されています。
どちらも水性塗料で水で希釈する事ができるので、扱いやすい塗料となります。
臭いも人体への影響も少なく費用が安いのがメリットとして挙げられます。
デメリットは接着性が弱く、耐久性、耐水性も低いという事です。
軒天は比較的、劣化スピードは遅い為、「EP」「AEP」の塗料でも外壁塗装や屋根塗装のタイミングで一緒に塗装してあげれば問題ないと言えます。
近年では、ケイカル板などの軒天にも塗装する事のできるNAD塗料を使用するケースも増えてきています。
- NAD=アクリル樹脂系非水分散系塗料
「NAD」は「EP」「AEP」と比べ価格は高いが、接着性や耐水性も高く近年使用される頻度が増えてきています。
もう一つの特徴としてヤニ止め効果もあります。
軒天塗装の色
軒天塗装の色で最も人気な色は「白」になります。
札幌の住宅街を周って見てみたとしてもほとんどの住宅の軒天の色は白ではないでしょうか?
なぜ白が多いのかには理由があります。
軒天は屋根の裏側、つまり、日に照らされない部分になります。
日が当たらない=暗く見えるという事です。
少しでも外観を明るく見せる為に、「白」が使用されるケースが多いです。
又、白は外壁のどんな色にも比較的相性の良い色の事から最も人気な色となります。
軒天塗装の色で迷った際は「白」にしておくと間違いないのです。
「白以外にしたい」という方は外壁や屋根などの色の相性を見て判断しましょう。
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軒天塗装の手順
軒天塗装は外壁塗装や屋根塗装をする際に必ず行わなければならない高圧洗浄の作業はしません。
軒天には有孔板などの穴が開いてるものや換気口があり、高圧洗浄をしてしまうと水が浸入してしまい雨漏りを起こしてしまう可能性がある為、高圧洗浄はせず塗装工程にはいります。
軒天塗装の手順は以下の通りです
工事工程 | 工事内容 |
①下地処理 | 既存塗膜の剥がれや汚れをペーパーや皮スキなどで除去する。 補修箇所があれば補修する。 |
②錆止め | 軒天の止め金具(釘やビス)に錆止めを塗布する。 |
③下塗り | シーラーなどの下塗り作業 |
④中塗り | 上塗り塗料と同じ塗料で中塗り作業 |
⑤上塗り | 中塗り塗料と同じ塗料で上塗り作業 |
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軒天塗装のDIY
軒天塗装のDIY、結論から言います。
塗装工事の経験がない方は危険なのでやめましょう。
軒天は屋根の裏、つまり高所での作業という事です。
高所での塗装作業は危険が伴います。
面積は外壁や屋根と比べると少ない為、簡単に見えるかもしれませんが、天井を塗る為、床や外壁に軒天塗料が付着してしまったりと難しい作業となります。
万が一の事故や失敗のない様に、知識、経験、技術の持った塗装の職人にお願いする事にしましょう。
まとめ
本記事では塗装工事で欠かせない軒天塗装について紹介しました。
軒天は外壁や屋根と比べ、あまり目に入る部分ではないかもしれません。
しかし軒天にはお家に欠かせない重要な役割があり、その役割を担ってもらう為には定期的なメンテナンスが必要になります。
そのメンテナンスで最も効果的なのが塗装工事になります。
「予算を少しでも下げたい」からと言ってDIYや工事を省いたりする事はやめましょう。
塗装工事は一度失敗してしまうと手直しをする際に、通常工程よりも工程が増えて金額が上がってしまう可能性があります。
軒天塗装に必要な知識、経験、技術のもった信頼できる塗装業者にお願いしましょう。