クリア塗装【無色透明な塗装】
「塗装をしたいけど今の色の雰囲気や質感を変えたくない」「外壁材のデザインを変えずに長持ちさせたい」
などと言う方はクリア塗装をおすすめします。
クリア塗装は車やプラモデルのコーティングの様に光沢感を与え、塗膜で外壁表面を保護できる塗装になります。
クリア塗装には向き不向きやメリット・デメリットがあり、外壁のデザイン性を残したいが為に全ての方がクリア塗装にした方が良いというわけではありません。
この記事ではクリア塗装に必要な情報について詳しく解説していきます。
あなたの住宅にクリア塗装が適しているか適していないかの判断材料にして頂けたら幸いです。
クリア塗装とは
クリア塗装は=クリアー塗装やクリヤー塗装と呼び、どれも意味は同じになります。
クリア塗装とは無色透明の塗料を既存の外壁に塗る事で、既存の外壁のデザイン性を残せる塗装の事を言います。
車のコーティング仕上げの様な塗装になります。
一般的に使用される色の付いた塗料は既存の外壁材のデザインを塗料の色で塗り潰してしまいます。
外壁のデザインが気に入っている方、お家の雰囲気や質感を変えたくない方はクリア塗装がオススメです。
一般塗料との違い
一般的な塗料は【顔料+樹脂+添加剤+溶剤】で構成されています。
クリア塗料には顔料が入っていないというのが一般塗料との違いです。
顔料は主に塗料の色をつくる成分です。
顔料がない事から無色透明な塗料となっています。
顔料が入っていない事以外は一般的な塗料と違いはありません。
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クリア塗料の種類
クリア塗料にも一般塗料同様に水性塗料や油性塗料があります。
その中にもグレードがあり、そのグレードにより耐久性、費用が変動します。
クリア塗料の種類はアクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料、無機塗料が有ります。
グレードは下記の通りになります。
クリア塗料には紫外線に強いラジカル塗料は無い
ラジカル塗料とは紫外線が塗膜に当たる事によって塗料の主成分の一つ顔料に含まれる酸化チタン内から発生する劣化の原因になるラジカル分子の発生を抑制する塗料です。
クリア塗料には顔料を含まない為、ラジカル塗料はありません
クリア塗料には紫外線に強いセラミック系塗料UVプロテクトクリヤーが有る
日本ペイント株式会社で製造されているセラミック系塗料で超耐候性を実現します。
緻密で強力に結合した分子構造と紫外線吸収剤の働きで劣化を長期にわたり抑えられるクリア塗料。
耐久年数は10年~15年です。
クリア塗装のメリット
デザイン性を維持できる
クリア塗装の一番のメリットはやはり無色透明な塗料を塗る事で既存の外壁材のデザイン性を残したまま塗装ができるという事です。
近年ではデザイン性の高い外壁材が増えており、タイル調やレンガ調などの外壁塗装工事では表せない様な柄も多くあります。
その柄や色を維持したまま塗装をする事で耐久性を高めたり、劣化を起きにくくさせます。
チョーキング現象が起きない
チョーキング現象は塗膜が劣化し、顔料が分解され白い粉状になって外壁表面に現れる現象の事を言います。
クリア塗料にはこのチョーキング現象の起きる原因の顔料が入っていない為、塗装劣化のチョーキング現象が起きません。
光沢感(ツヤ)が出る
クリア塗装をする事で、新車で自動車を購入した時や、車のガラスコーティングの様な光沢感を外壁に与える事ができます。
塗料の種類にもよりますが、つやあり、7分艶、5分艶、3分艶、つや消しなどがあり、艶を選択する事で、ご自身の住宅にあったつやの感じを選ぶ事ができます。
クリア塗装のデメリット
一般塗料より耐久性が落ちる
クリア塗装は同じグレードの一般の色つき塗料で比べると耐久性は少し落ちてしまいます。
一般の色つき塗装は【下塗り→中塗り→上塗り】の計3回の重ね塗りする工程になりますが、クリア塗装には下塗りがなく、上塗り塗料を2回重ね塗りする工程となります。
塗り回数が一般の色つき塗料と比べ1回少ない分、塗膜の層が薄くなる為、耐久性や機能性は共に少し短くなってしまいます。
一般の色つき塗装に比べ、短い期間でのメンテナンスが必要です。
補修跡や汚れが目立つ
クリア塗装は無色透明なゆえに、既存の外壁材の下地状態がそのまま出てしまいます。
染みついた汚れ、外壁修理の補修跡や傷があればその部分はそのまま見えてしまいます。
一般の色つき塗装の場合、塗膜で隠せます。
コーキングが剥き出しの状態になる
クリア塗装をする場合、コーキングは後打ちで行う事がメーカーなどでも推奨されています。
コーキングの上にクリア塗装をしてしまった場合、塗膜が割れた際に剥離や白化等が起きる可能性があるからです。
クリアなので手直しする事も困難になります。
後打ちでのデメリットは、塗膜でコーキングを守れないという事です。
コーキングが、直接紫外線や雨風にさらされると劣化速度は塗膜で守られている状態より早くなります。
※コーキング後打ちの場合、コーキングの色合わせが必要になります。
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クリア塗装に向いてる住宅
デザイン性の高い外壁サイディング
レンガ調、石目調、タイル調など外壁の色が単色ではない外壁にクリア塗装は適しています。
塗装では表せない柄の入ったサイディングの住宅を単色で塗り潰すのはもったいないと思う方。
築年数の浅い住宅
クリア塗装は築年数が7年~10年程度の住宅が目安になります。
外壁にチョーキング現象やひび割れ、汚れなどの劣化症状が少ない住宅。
木部の塗装
木材で造られた窓枠などの木部にもクリア塗装は適しています。
木部の木目をそのまま活かし、塗膜で保護する事により、紫外線での劣化や木部に防水効果をもたらし劣化を防ぐ事ができます。
又、防カビ、坊藻機能のもった塗料を使用する事で、それらの抑制効果もあります。
打ちっぱなしコンクリート
打ちっぱなしのコンクリートにもクリア塗装は適しています。
コンクリート特有の外観の表面をクリアの塗膜で保護し、紫外線や雨風による経年劣化の進行を防ぎます。
又、防カビ、坊藻機能のもった塗料を使用する事で、それらの抑制効果もあります。
クリア塗装に不向きな住宅
単色の外壁サイディング
サイディングが単色の場合、クリア塗装ではなく塗料の色を既存の外壁材の近似色にして塗装する事をオススメします。
なぜなら単色の場合はクリアにしなくてもデザイン性は変わらない為、わざわざ一般塗料より耐久性の落ちるクリア塗料を塗る必要性があまりないからです。
又、コーキングが剥き出しの状態になるという事が起きてしまうのでメンテンナンスの期間が短くなるだけになります。
劣化症状が多い住宅
クリア塗装のデメリットの補修跡や汚れが目立つ 箇所が多くなり見た目が改善されません。
更にチョーキングが発生している場合、クリア塗装後に白ボケやムラが発生し、見た目を損なう可能性があります。
光触媒・フッ素・無機でコーティングされている外壁
光触媒・フッ素・無機の様な外壁材の表面に汚れをはじくコーティングが施されているの場合、クリア塗料も弾いてしまいます。
クリア塗装は密着性を高める下塗材を使用できないケースが多い為、クリア塗装をしてもすぐに剥がれてきてしまいます。
金属系の外壁サイディング
金属系のサイディング素材や屋根の板金の場合、下塗材でサビ止め塗装をしなければなりません。
サビ止め塗料にはクリア塗料がない為、クリア塗装はできません。
クリア塗装の施工の流れ
①高圧洗浄
⇒高圧洗浄で外壁を水洗いし塗装面を綺麗にします。
クリア塗装では下地の状況がそのままでてしまう為、高圧洗浄でしっかり綺麗にすることによって仕上がりにも影響します。
又、密着性を高める下塗りをクリア塗装では基本的に使用しない為、より一層、高圧洗浄作業は重要になります。
水にぬれた壁は十分に乾燥させてから次の工程に入ります。
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②養生
⇒クリア塗料は透明ですが、付着してほしくない箇所に付いてしまうとツヤがでるので一発で分かります。
塗装をはじめる前に付いてほしくない箇所にはマスキングテープやビニールシートで覆い養生をします。
③下地処理
⇒サンドペーパーや耐水ペーパーなどで高圧洗浄で取り切れない汚れなど研磨して磨き綺麗にします。
又、補修処置が必要な箇所があれば補修し、補修跡やキズが目立たない様に外壁材と近い色の塗料でタッチアップします。
④上塗2回
⇒通常の塗装とは違い、クリア塗装は2回塗りの工程になります。
下塗りと上塗りの塗料は同じ塗料を使用し、塗り重ねる事によってクリア層に厚みを付ける事ができ、本来持つ塗料の効果を十分に発揮できるようになります。
下塗り後、上塗り後、十分な乾燥時間を置いた上で次の工程に入ります。
※クリア塗装は一般的な塗装と同様、刷毛工法、ローラー工法で外壁を塗装しますが、場合によってはスプレーガンを使用した吹付工法を使用する場合もあります。
⑥コーキング
⇒通常の塗装工事では先にコーキングを行いますが、クリア塗装では後打ちが基本となります。
最後に綺麗にマスキングテープを貼り、綺麗にコーキングを行い仕上げになります。
まとめ
今回はクリア塗装に必要な情報を解説いたしました。
外壁のデザイン性を維持して行きたい方にはクリア塗装はオススメですが、クリア塗装をするにはメリットデメリットがあり、向き不向きもあります。
クリア塗装で失敗しない為には、家の状態がクリア塗装に適しているかを十分に確認し、判断する事が重要になります。
その為には専門的な知識や経験、技術のもった塗装屋さんにお願いする必要があります。
いづれにしてもクリア塗装においては早い段階で塗装するに越したことはありません。
まずは塗装専門業者にできるかどうかも含め相談し、早めに計画する事をオススメします。