塗料の基礎知識

塗料には基本的な構成があり、その構成の違いによって大まかに分かれた種類あります。
この記事では基本的な塗料の構成から種類別にメリットデメリットなどを解説しています。

塗料は大きく分けて水性塗料と油性塗料の2種類があり、その中で1液性と2液性に分かれ、更に塗料のグレードに分かれます。

塗料の基本的な知識を知る事で塗装選びの参考にして頂けたら幸いです。
まずは基本的な塗料の構成から見ていきましょう。

塗料の構成

塗料は主に3つの塗膜成分(①顔料+②樹脂+③添加剤)+一つの揮発成分(④水又は溶剤)の計4つで構成されています。
まずこの4つの成分について解説致します。

顔料(塗膜成分)

顔料の写真
顔料の写真

顔料は主に塗料に色彩や機能を作る成分

塗料に色を付ける為の成分の他、塗膜に厚みを持たせたり、サビにくくする効果も持っています。

顔料は、一般的な塗料(色のついた塗料)に必ず入っており、これらをエナメル塗料と呼びます。

※塗料の中には顔料の含まない塗料=クリア塗料があります。

樹脂 (塗膜成分)

樹脂は主に塗膜を形成する成分

塗料に含む樹脂の種類によって塗料のグレードや品質が変わってきます

アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂とさまざまです。

添加剤 (塗膜成分)

添加剤は主に塗膜の性能を向上させる成分

塗料に添加剤が含む事で塗膜に新たな性能を持たせる事ができます。

塗料に含む代表的な添加剤
(防腐剤、防カビ剤、たれ防止剤、レベリング剤、色別れ防止剤、可塑剤、消包剤、界面活性剤、艶消し剤など)

水又は溶剤 (揮発成分)

上記3つの塗膜成分とは違い揮発成分となります。

揮発とは常温のもとで液体が気化する事を言います。
この揮発成分の水又は溶剤で塗料を希釈して樹脂を溶かし塗りやすくする役割があります。

希釈とは塗料を伸ばしたり薄めたりする事です。

塗料は原液の状態だと粘度が高く、液状ではあるもののそのまま塗ると刷毛目やローラー目がついてしまったり、塗りずらく綺麗に仕上げるのが難しくなります。

塗料製品の推奨値まで溶剤又は水で希釈する事で、塗料の樹脂を溶かし顔料を分散させて、均等な塗膜になるようにします。

※塗料はシンナーか水いづれのどちらかでメーカーの推奨値まで希釈し使用する様になっています。


塗料は上記4つから形成されていますが、 水又は溶剤 (揮発成分)によって塗料は大きく2種類に分かれます。
それが水性塗料と油性(溶剤)塗料です。
下記では水性塗料と油性(溶剤)塗料について見ていきましょう。

水性塗料と油性(溶剤)塗料の違い

塗料には水性塗料と油性(溶剤)塗料と大きく分けて2種類あります。
塗料は原液の状態で使用せず、塗りやすくする為にメーカー推奨値まで希釈剤を混ぜて使用します。

この希釈剤が何なのかで水性塗料と油性(溶剤)塗料が分かれます。


水性塗料と油性(溶剤)塗料の分かれ方

  • 水で希釈するタイプの塗料は水性塗料
  • シンナー(溶剤)で希釈するタイプの塗料は油性(溶剤)塗料


塗料はもともと油性(溶剤)塗料で開発され、耐久性と機能性、共に水性塗料に比べ先を進んでいました。

人体や環境などへの影響【VOC】から水性塗料の開発が進み、近年では耐久性も機能性も油性(溶剤)塗料に比べ引けを取らなくなっています。

水性塗料と油性(溶剤)塗料にはメリットデメリットがあり、それに伴い向き不向きもあります。

それぞれの特徴を下記にて見ていきましょう。

水性塗料について

水性塗料は揮発成分が水の塗料。希釈剤に水を使用するタイプの塗料です。
水性と聞くと真っ先に水性ペンなどをイメージして「水で消えてしまうの?」と思う方も少なくないでしょう。


大丈夫です。塗料の水性は乾燥し塗膜が硬化する事で水に溶けなくなる性質があります。

水性塗料は油性(溶剤)塗料に比べ一昔前までは性能が悪かったのですが、近年では耐久性も機能性も油性(溶剤)塗料に比べ引けを取らなくなり、水性塗料を使用されているケースの方が多くなっています。

札幌で外壁塗装をする際に最も使用される塗料です。

主に使用される箇所
外壁=窯業系サイディング、モルタル、ALC、リシンなど

メリットデメリット
塗料の臭いが少ない
・人体や環境に優しい
・引火する危険性が低い
・扱いやすい
・価格が安価になるケースが多い
・乾燥しにくい
・塗装に適していない時期がある
・金属系には向かない
・ツヤ感が油性より弱い

・2液型の種類が少ない
水性塗料のメリット・デメリット表

水性塗料のメリットデメリットはあくまでも一般的な同じぐらい油性(溶剤)塗料と比較した時の塗料の性質になります。
 メーカーや商品、グレードなどにより変わってきますので塗装業者に商品の説明を受ける事をオススメします。

油性(溶剤)塗料について

油性(溶剤)塗料は揮発成分が溶剤の塗料。希釈剤にシンナーを使用するタイプの塗料です。
油性(溶剤)塗料は更に強溶剤と弱溶剤の2種類に分けられられます。強溶剤と弱溶剤の違いはこちら

一般住宅の塗装で使用するのはほとんどが弱溶剤になります。

水性塗料の開発が進み、外壁では使用するケースが少なくなっていますが、札幌の住宅の9割が屋根板金(金属系)の材質の為、水性の塗料が適していない屋根に使用されるケースが多いです。
更に金属サイディングなども金属になる為、油性(溶剤)塗料を使用する事が多いです。

札幌で屋根塗装をする際に最も使用される塗料です。

主に使用される箇所
屋根板金、金属サイディング、鉄骨階段、鉄柵、シャッターなど

メリットデメリット
・耐久性が高い
・密着性に優れている
・気温や湿度に左右されにくい
・乾燥が早い
・金属系に適している
・塗料の臭いが多い
・人体や環境への影響が心配
・扱いが面倒
・価格が割高になるケースが多い
・室内には向いていない
油性(溶剤)塗料のメリット・デメリット表

※油性(溶剤)塗料のメリットデメリットはあくまでも一般的な同じぐらい水性塗料と比較した時の塗料の性質になります。
 メーカーや商品、グレードなどにより変わってきますので塗装業者に商品の説明を受ける事をオススメします。

油性(溶剤)塗料は強溶剤と弱溶剤の2種類

油性(溶剤)塗料には強溶剤と弱溶剤のと大きく分けて2種類あります。
油性(溶剤)塗料は塗りやすくする為にメーカー推奨値まで溶剤(シンナー)を混ぜて使用します。
この希釈剤である溶剤(シンナー)の強弱により強溶剤か弱溶剤かが分かれます。
簡単に説明すると

  • ラッカーシンナーなどの強いシンナーで希釈するタイプは強溶剤
  • 塗料用シンナーなどの弱いシンナーで希釈するタイプは弱溶剤

となります。

強溶剤は毒性が高く環境への影響にも悪い為、一般住宅では使用される事はほとんどありません。
簡単に塗装する事のできない大型建築物や橋などに使用される事が多いです。

弱溶剤は外壁塗装に塗装における環境や人体への被害を減らす(VOC対策)為に作られた塗料なので、近年一般住宅に使用される油性(溶剤)塗料は弱溶剤が主流とされています。

強溶剤と弱溶剤を比較すると下記表の様な違いがあります。

強溶剤弱溶剤
毒性高い低い
臭い多い少ない
耐久性高い低い
密着性高い低い
乾燥早い遅い
価格高い安い
危険性高い低い
塗料の強溶剤と弱溶剤の比較表

塗料の1液と2液

上記で水性塗料、油性(溶剤)塗料について解説致しましたが、これら全ての塗料には1液型と2液型があります。

  • 1液型は本記事の塗料の構成で紹介させて頂いた構成になります。
  • 2液型は4つの構成にもう一つ硬化剤がプラスα加わった構成になります。

2液型の硬化剤は、塗料を使用する前にメーカーの推奨値まで混ぜて使用します。
2液型は硬化剤が加わる事により硬化反応を起こし塗料が固まる為、塗膜がより強固なものになり1液と比べると耐久性が高くなります。

耐久年数は2~3年程度長くなると言われています。

耐久性が高くなると同時に硬化剤が加わる事もあり、価格も比例して高くなります。

2液型は1度硬化剤を混ぜてしまうと次の日には使用できなく扱いが難しい塗料となります。

VOC対策について

VOCは揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称です。
大気中で気体となる有機化合物(科学物質)の事を言います。

代表的な物質
塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、シンナー】などに含む【トルエン、キシレン、酢酸エチル】など
VOCの排出量は上記物質からが大半を占めます。

VOCは放出されてしまうと健康や植物に影響を及ぼす原因となります。
環境リスクを最小限に抑える為、VOC排出削減を国で取り組んでおります。

まとめ

塗料の種類は数多くあり、環境、状態、条件など様々な理由から最適な塗料を選択しなければなりません。
下記表の様に塗料の種類は成り立っております。

塗料の種類 種別表
塗料の種類 種別表

ここから更にグレードに分かれる事になり、耐久性や機能性、価格などが商品によって変わります。

近年、VOC対策もあり、毎年の様に各メーカーから塗料が次々と開発されており、耐久性や機能性に優れている塗料が新しく販売されています。

予算、機能、施工時期など状況に合わせて塗装の経験豊富な塗装専門業者に相談してご自宅にとって最適な塗料を選びましょう。


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